“歩かない老後”は病気の入口? ― 3人に1人が運動不足の時代に、いま始める身体づくり

「年を取ったから、動くのはちょっと…」そう思っていませんか?

実は、“動かないこと”こそが老化を加速させる最大の原因です。

厚生労働省は「1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続している」場合を運動習慣ありと定義しています。

世界保健機関(WHO)は、2030年には世界の成人の3人に1人が“身体活動不足”に陥ると予測しています。これにより、心臓病や糖尿病、がん、認知症など、いわゆる「生活習慣病」がさらに増えると懸念されています。

日本でも、70歳以上の女性のうち約6割が運動習慣がないという調査結果があります。日常生活は問題なくこなしていても、運動として体を意識的に動かす時間が不足しているのが実態です。

年齢階級(2015年)男性:運動習慣あり (%)女性:運動習慣あり (%)
20~29歳17.1%8.3%
30~39歳18.9%14.3%
40~49歳21.3%17.6%
50~59歳27.8%21.3%
60~69歳39.0%35.9%
70歳以上56.1%37.5%
2015年時点の年齢階級別「運動習慣がある人」割合


「今さら運動なんて…」と思った方へ

ご安心ください。ハードな運動や筋トレを始める必要はありません。

WHOや厚生労働省が推奨しているのは、「中等度の運動を1日30分程度」。たとえば、買い物ついでの遠回り散歩や、家事の合間にスクワットを数回するだけでも十分効果があります。

高齢期に運動を始めると、次のようなメリットがあります:

  • 転倒・骨折のリスクが減る
  • 筋力・バランス力が維持され、要介護になりにくくなる
  • うつ・不安の予防に役立つ
  • 認知症の進行を遅らせる可能性がある

つまり、動き続けることが「自立した老後」につながるのです。


「いつまでも元気でいるために」

運動は、今からでも遅くありません。70代、80代でも、毎日15〜30分の軽いウォーキングを続けるだけで、体は確実に変わります。

そして何より、運動は「気持ちも前向きにしてくれる」最高の薬です。無理のない範囲で、ぜひ“動けるうちに動く”習慣を始めてみてください。

人生100年時代。健康寿命をのばすカギは、毎日のちょっとした身体の使い方にあります。